勤務間インターバル制度導入セミナー(厚生労働省 主催)レポート

by.上拾石 弘

 

1.開催概要

タイトル:勤務間インターバル制度導入セミナー
主催:厚生労働省
日時:平成29年3月3日(金)14:00 ~ 16:00
会場:AP 名古屋. 名駅

 

2.セミナー次第

【第1部】

・厚生労働省 労働基準局挨拶
・講演タイトル:「勤務間インターバル」活用のメリット
 講師:独立行政法人 労働者健康安全機構
    労働安全衛生総合研究所 産業ストレス研究グループ
    主任研究員 久保 智英 先生
・事例紹介:「勤務間インターバル」の導入事例
 講師:「勤務間インターバル」広報事務局 中島 久夫 様
・質疑応答

【第2部】

・「職場意識改善助成金(勤務間インターバル導入コース)」について
 厚生労働省 労働基準局より説明

【相談会】

・セミナー終了後、助成金についての相談会

 

3.【第1部】講演「勤務間インターバル」活用のメリット

講演タイトル:「過重労働対策としての勤務間インターバル制度の可能性」

 

 

  • 勤務間インターバルという考え方

≫EU で導入されている考え方

■従来の労働時間の規制
→ 労働時間の上限を規制

 

■勤務間インターバル規制
→ 勤務と勤務のインターバル(連続休息時間)を規制

・24時間につき最低連続11時間の休息

・7日毎に最低連続24時間の休息日

 

 

  • 過労死白書:勤務間インターバル制度の導入状況

≫導入している企業 わずか2%
(調査実施時期:2015年12月から2016年1月にかけて)

 

 

  • 統計データからみた各国の労働時間の推移

≫日本:総実労働時間(年間)

・1990年 2,000時間超

・2012年 1,700時間超

→ 非正規の人が増え、総実労働時間の平均が、減っただけで、正規の人の総実労働時間は減っていない。

 

≫日本:プレゼンティーズム(Presenteeism)

・出勤しているにも関わらず、心身の健康上の問題により、充分に、パフォーマンスが上がらない状態

・最も大きく、かつ、深刻なプレゼンティズムは、睡眠と精神の問題。
 そして、毎日の生活習慣から生じる。

・年間損失は、日本全体で、6億円

 

 

  • 労働者の疲労回復におかえるオフの重要性

≫物理的に仕事(職場)から離れるだけでなく、心理的にも仕事から離れることが重要

→ 心理的距離(Psychological detachment:サイコロジカル・ディタッチメント)

 

≫1日の仕事が終わった後の時間の過ごし方

・仕事の事を忘れる

・仕事のことは全く考えない

・仕事と距離を置く

・仕事での負担から離れてひと休みする

 

 

  • 労働による疲労とその過労リスク

≫勤務間インターバルは、疲労回復に重要な睡眠時間の確保になり、過労予防につながる

 

 

  • 過労による安全リスク

≫睡眠不足が主な原因とされている大事故

・1979年3月   スリーマイル島原発事項

・1984年12月  インド・ボパール化学工場ガス爆発事故

・1986年1月   スペースシャトル・チャレンジャー爆発

・1986年4月   チェルノブイリ原発事故

・1989年3月   石油タンカー・バルディーズ号原油流出事故

 

 

  • 過労による健康リスク

≫睡眠不足は人間関係の悪化にも影響する

・寝不足だと、幸せの表情を見ても幸せそうとは感じず、怒りの表情を見ても、怒っているとは感じなくなる。とくに微妙な表情の読み取りが難しくなる。

 

≫睡眠時間の確保は健康のもと

・睡眠の長さは寿命とも関係する

 

≫仕事のノルマによる心理的ストレスで睡眠の質は悪くなる。

・インターバルと共に、心理ストレスのマネジメントが重要

 

 

  • 過労リスクへの対策

≫勤務間インターバル規制という考え方

≫勤務間インターバル制度を導入することは疲労回復に重要な睡眠の確保になるため、従業員の安全、健康、生活の側面に効果が期待される。

 

≫勤務間インターバルと循環器負担
  → 勤務間インターバルの確保は循環器負担の軽減につながる

 

≫勤務間インターバルとメンタルヘルス
  → 勤務間インターバルの確保はメンタルヘルスの予防対策にもなる

 

≫過去1年間のクイック・リターン(11時間以下)の経験回数と健康指標の関連性

経験回数が、30回以上だと0回に比べて、
 不眠;6倍
 過度な眠気:1.8倍
 交代勤務睡眠障害:2.9倍

 

≫「勤務間インターバル制度」の導入は健康確保に効果がありそうだが、企業の売上には、効果があるのか?

→ 中長期的には、良い影響がある。
 参考文献:「労働時間の経済分析 - 超高齢社会の働き方を展望する」
       山本 勲、黒田 祥子 著
       日本経済新聞社

 

≫ただし、11時間の勤務間インターバルの意味は?

・週5日勤務(8時間労働+1時間休息+片道1時間の通勤の場合)
  → 月20日の勤務の計算で、月残業100時間 ⇒ 過労死認定ライン

 

≫目に見えない勤務時間が増えている

・「つながらない権利」(The right to disconnect)
  → 勤務時間外でのメールのやり取りを規制
   (フランスで2017年1月から施行)

 

 

  • 勤務間インターバルの運用方法のヒント

≫平均値で運用する方法

  ・月平均一定の時間以下になる人は配慮する

 

≫月回数で運用する方法

  ・一定の時間を下回る日が月何回以下あったら配慮する

 

 

  • 導入事例に学ぶ

≫KDDI株式会社

就業規則:組合員を対象に8時間のインターバル

安全衛生規程:管理職を含めた全社員に11時間のインターバル

⇒ 11時間未満を下回る日が月内に11回以上あった社員に対して、個別に健康診断や問診、必要に応じて産業医面談などを実施している

 

≫JTBグループ

国内グループ企業の約半数で9~11時間の休息が義務

 

≫メタウォーター

最低11時間の休息が義務

 

≫NEC

勤務が午後11時半以降なら1~2時間、翌日の出勤を遅らせられる

 

≫ホンダ

最低12時間を確保する

 

≫三井住友信託銀行

最低9時間の休息が義務

 

 

  • まとめ

≫過労リスク

・安全リスク
 ⇒ 慢性的な睡眠不足は、1晩の徹夜と同程度に脳機能を低下させる
 ⇒ 夜勤は飲酒運転をするのと同程度の認知機能水準である

・健康リスク
 ⇒ 睡眠不足状態では他者の表情から感情が読めなくなる
 ⇒ 睡眠が足りないと風邪などの病気にかかりやすい
 ⇒ 短時間の睡眠は寿命ともかかわる

 

 

  • 勤務間インターバル制度の導入の効果

 

 

  • 質疑応答

≫質問

建設業と製造業の中間のような業態で、深夜に納品作業を行うことがある。
所定労働時間は、8時間で、午前0:00 ~ 午前6:00 まで、納品作業を行った場合、翌日の勤務は、どのように扱うのが良いか?

 

≫回答

・翌日、2時間の勤務も行ったものとしてみなして、給与を支払う。

・もしくは、繰り下げて、インターバルを確保して、2時間の勤務を行う。

 

 

 

 4.【第2部】「職場意識改善助成金(勤務間インターバル導入コース)」について

厚生労働省 勤務間インターバル

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/interval/

 

 

 

5.「勤務間インターバル制度」に対応した労務管理ソフトウェアについて

株式会社スナップショット では、勤務間インターバル制度に対応した労務管理ソフトウェアのご提供を行っております。

上記、助成金の活用も行えます。

詳細は、営業部(info@snapshot.co.jp)お問い合わせください。