『人間力』は醸成できるのか

~研修で出来る事と出来ない事~

by.松本 宜大

よく企業の人事から訊かれることがあります。それは、
「研修で人間力を高めてほしい」
というご要望です。
私は必ずこのように聞き返します。
「人間力って何ですか?」
すると、だいたい2種類の返答があります。
1つ目は、「うーん、何だろう?人間としての力かな?」という答え。
もう1つは、「謙虚さとか、ヒトに対する優しさとか、人を引き付ける魅力」という答えです。

 

人間力というものが、仕事をする上で大切なのはわかります。人間としての優しさがあれば、職場での協働に積極的になるでしょうし、人間としての誠実さは営業活動でもプラスでしょう。
松下幸之助をはじめとして、多くの企業経営者は言葉は違えども『人間力』について言及しています。
(多くの人事も、社長や役員から「人間力を鍛える」事について言われることが多いようです)

 

しかし、HR担当者として考える必要があります。
それは、研修で出来る事と出来ない事を分けることです。
研修で出来る事は、、、
・意識(役割に対して)を高める事
・知識を習得させること
・スキルを習得させること
です。
逆に研修で出来ない事は、、、
・リーダーシップを習得する(大きいテーマなのでいずれコラムに書きます)
・人望のある人間になる
・人間力を高める
です。
冒頭の人間力といった力の醸成は正直難しいと言わざるを得ません。
なぜならば、人間力の定義も曖昧ですし、成育歴といった家庭環境における承認欲求の充足などは研修ではほぼ不可能ですし、労力をかけても十分なリターンがあるとは思えません。

 

大事なのは、研修で出来る事に集中することです。そして、それをより精緻に考え抜き、施策に落としていく事が重要です。具体的に「ターゲット(何を対象にするのか)」を定め、「達成基準(どこまで達成したら良いのか)」「達成方策(どのように達成させるか)」について、出来る限り詳細に抽出してみて下さい。

 

カタドリ 代表 松本宜大