境界と人材開発

~その人の持つ“境界”を壊していく事の重要性~

by.松本 宜大

人材開発の重要性については当コラムにおいて、言及してきました。
今回は『境界を壊していく事』が人材育成について重要というお話をしたいと思います。

境界というと、国境ですとか排他的経済水域というような領地や領域の際、他の領地や領域との接触する線をイメージされると思います。
今回お話したいのはそのような事とは少し違います。

例えをしてみたいと思います。
あなたが新卒である会社を入社して以来10年間、営業として顧客をまわり、ニーズをヒアリングして自社の製品を販売しているとします。10年間の間で、営業として様々な経験をしていきます。そこであなたは良い意味でも悪い意味でも営業としての固定観念を持つようになります。
良い意味では「こうすれば営業として成果を出せる」「顧客は大概このようなニーズを持っているのだから、〇〇(製品名)を提案すれば受注しやすい」と言った成果を出すために必要なナレッジが挙げられます。
悪い意味では、「うちの製品開発はわかってないな」「うちの工場はどうして融通が利かないんだろう」といった社内のセクショナリズムのようなものから、「顧客にはこういうニーズは無いだろう」といった顧客や市場に対する思い込みまであります。
このような固定観念を領地だと思ってください。
すると、自身の固定観念の外との接触している線が境界になります。
上記の例で言うと、営業という領地の中で、自部門(「営業部門」)を正当化し、他の部門「製品開発」「生産」について否定的な考えを持つようになります。
組織にいる人間は(人材開発部門でも)無意識に「境界」を引いているのです。

「多くの会社で横の連携が上手くいかない」、
「全社目線で考えることができない」、
といった事は、境界によって
「領地内の正当化」
「領地外の否定」
が蓄積されたものです。
ナレッジが蓄積されるという良い点がある反面、このようなセクショナリズムによって組織の一体感は無くなり、戦略の実行力も弱くなっていきます。
この境界の問題を人材開発担当者はもっと注目するべきです。

このような領地と領地の間の「境界」に対して、人材開発担当者としてどのように対応したらよいか、次回お話します。